
『COWBOYS』※ルール和訳付き
Worthigton Gamesといえば〈積み木〉を使ったシミュレーションゲームを出す新興メーカーで、特に渋めのテーマ設定からファンになっているゲーマーも多いだろう。そのWorthington Gamesが満を持して送り出してきたのが、この『COWBOYS』だ。シミュレーションメーカーが手がける西部劇ゲームとあって、僕は最初、アバロンヒルの『真昼の決闘(Gunslinger)』のようなゲームを想像していた。まごう事なき傑作だが、あの緻密な方向性は今の市場に合わないのでは? そんな危惧を感じていたのだ。結論から言えば、この予想はいい意味で裏切られた。プレイアビリティを重視し、直感的な銃撃戦の展開を熱く楽しませること。それが『COWBOYS』の狙いだったことに気づいたからだ。システムはとてもシンプルだ。陣営毎に先攻後攻が決められ、基本的には移動→戦闘の手順。主役となるカウボーイとは、ガンマンや無法者、保安官の総称で、シナリオによって規定される。カウボーイには0〜+2までの射撃修正が与えられているが、各々の個性はこれだけだ。しかし、修正を与えられるカウボーイは限られているため、修正の有無はとても大きい。他に、カウボーイほどの能力を持たない一般人も登場する。プレイボードはスクエアになっている。一見古くさいが、スクエアの利点としてキャラクターの方向と射線が明確に示されるため、位置の取り合いという銃撃戦の肝に集中できる。また、障害物についても通り抜けられるか、そうでないかの違いしかないため、アクションの決断が重要になる。口頭で5分も説明すればすぐにゲームを開始できる。正直なところ、こんなシンプルなシステムでは大味な結果に終わってしまうのではないか。僕はルールを読みながらそんな不安を感じていた。だが、シナリオを見ているうちに考え方が変わってきた。シナリオ数は26本。6枚12面のマップと30人のカウボーイ、そしてモブ〈群衆〉としての住民の演出や配置だけで、映画や芝居でおなじみの銃撃戦が、かなりそれらしく再現できてしまっているのだ。特にシナリオで目に付くのは、ワイアット・アープやビリー・ザ・キッドだが、おそらくほとんどの西部劇ガンファイトが設定できる。難点をいえば、シンプルさゆえに名ガンマン同士の決闘などはあまり幅がない。反面、集団戦闘になると俄然派手になるのだ。キャラクターの差異は射撃能力しかないから、結局、数が多い方が勝ってしまうのではという心配も無用だ。このゲームでは、最初に両陣営にイベントカードが配られる。これは相手の銃撃を無視したり、命中弾を致命傷に変えたり、一時的に能力を上げたりする効果を持つが、チーム全体でこのようなカードを有効に使うことによって、ゲームの潮目を作ることができるのだ。包囲され、絶体絶命のピンチに陥ったとき、こうしたカードを使った名ガンマンの単騎駆けで活路を開く……なんてことも、かなりシンプルに再現できてしまう。ただの銃撃戦だけでなく、振り向き射撃や叩き撃ちなども、実に簡単に再現できるのだ。また、ゲーム展開から、弾切れの怖さが身にしみて分かる。残弾に注意せよというのはガンファイトの鉄則だが、マガジンやカートリッジが普及する以前の銃撃戦では、残段数への気遣いは死命を分ける。「らしく」遊びたいという本能に対して、非常に忠実なデザインになっているのだ。これだけ簡単に取りかかれ、しかも、集団戦闘の再現も容易とあれば、例えば西部劇系RPGの戦闘場面のコンバートツールとしての活用も考えられる。それくらいプレイヤー側からの工夫が容易な、懐の深さを持っている。あの西部劇の名シーンをどう再現しようか……そんな想像に心を遊ばせてくれるゲームが『COWBOYS』なのだ。矢井田等:寄稿
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『COWBOYS』※ルール和訳付きWorthigton Gamesといえば〈積み木〉を使ったシミュレーションゲームを出す